今回は商品企画を進めるうえで重要なインサイト(=商品を選択する動機)について紹介します。

早速ですが、「商品企画」と聞いてどのような仕事を想像するでしょうか?

ヒット商品のイメージ画像

商品企画をひとことで言うと、それまでなかったモノやサービスを作り、世の中の反応を見ながら検証・改善を繰り返していく仕事です。
既存商品の改良もあれば、イチから新商品を作っていくこともあります。

いずれの場合でも、商品を買う人に「あ、これ欲しい!」と思ってもらえる商品を企画することがとても重要です。
そのためには、消費者にとってその商品の購買理由になる「インサイト」を捉える必要があります。

中小企業向けの「インサイト型企画」

企画を立てるには様々な方法がありますが、大きく「イノベーション型」「インサイト型」の2つの種類に分けられます。

イノベーション型の例として挙げられるのは、ソニーのウォークマンやテスラ・モーターズの電気自動車です。まさに世の中にないものを作り出した革命的なイノベーション型の商品企画の成功事例といえます。
しかしながら、イノベーション型は一般的には大きな投資が必要になりますし、上手くいかなかったときに大きな損失を被るリスクがあります。つまり、ハイリスク・ハイリターンを保有できる大企業向けと考えることができます。

一方、インサイト型は消費者の「欲しい」理由から商品を作り出すため、販売の根拠や需要を検討しやすくリスクの少ない企画を立てることができます。

例えば、ここ数年のマクドナルド。新商品のハンバーガーの名前公募や好きな商品への投票など、新たな企画で集客に成功しています。消費者が持つ「メニューの企画や選定に関与してみてみたい」というインサイトに働きかけた企画だと考えられます。

インサイト型はイノベーション型に比べ、安定してヒットを生み出せる中小企業向けの企画です。

インサイト抽出のプロセス

インサイトを探っていくプロセスは以下の通りです。
一つひとつのプロセスには具体的なやり方・進め方がありますが、まずは全体的な流れを捉えると良いでしょう。

1.ターゲットユーザーの定義

まず第一歩として「誰に」向けた企画なのかを決めます。
ターゲットが明確だと、感情移入しやすくなるので企画の精度が上がりますし、ユーザーに事前にアンケートを取るときにも役立ちます。

ターゲットとは単純に商品を買ってくれる人だけではありません。
次の2つのターゲットを考えてみてください。

商品の機能を絞るためのペルソナ(個人)

ペルソナは企画する商品の代表顧客です。
商品の機能を検討する際には、あれもこれもと機能を盛り込みすぎないよう1人のペルソナ像を基準に絞り込んでいきます。

商品の魅力を伝えるコミュニケーションターゲット(集団)

企画した商品をヒットさせるためには、商品の魅力をアピールしなければなりません。
ペルソナに近い属性を持つグループとしてコミュニケーションターゲットを設定し、価値観やライフスタイル、特徴的な消費行動などを具体化して、それに対応する情報発信を検討していきます。

なお、ターゲットユーザーを決める際は「属するターゲット人口の規模が、期待する売上規模に見合うのか」を忘れずに確認してください。

2.ユーザー観察やグループインタビューによる調査

ターゲットユーザーを設定したら、これまでの会社の事例やユーザー観察によってユーザーの購買行動を調査します。場合によっては、グループインタビューやデプスインタビューなどを用いるのも効果的です。

調査するときは、少し変わったユーザーの利用や購買行動を見逃さないようにしてください。
その背景に普段は見えない潜在的なユーザー心理が隠れていることが多いからです。

3.調査結果を一般化し、仮説を立てる

調査や観察を重ねると、発見や気づきが蓄積されていきます。
これらを一般化してインサイトに変換し、商品企画のタネにしてきましょう。

調査したユーザーの行動を

  • ユーザーにとっての価値は何か?
  • どの機能・品質が「あ、これ欲しい!」と思わせたのか?
  • という観点でグルーピングし、仮説を立てていきます。

    そうするとグループごとに商品を選択した動機(インサイト)が見えてきます。

    4.ユーザーボリュームを確認する

    せっかくインサイトを発見できても、そのインサイトを持ったユーザーが少なければ商品企画をしても効果は限られます。
    パネル調査やアンケート調査などで発見したインサイトを持つユーザーがどれくらいいるのかを確認します。

    場合によってはターゲットの修正を検討するなど、このプロセスを何度も繰り返しながらブラッシュアップしていきましょう。

    まとめ

    商品企画を成功させるには、ユーザーのインサイトを捉え、商品の機能や情報発信に盛り込んでいくことが重要です。
    新商品の企画や既存商品の改良を検討している方はぜひインサイト型の商品企画を参考にしてみてください。

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