「良い売上」と「悪い売上」
突然ですが、皆さんには良い買い物と、悪い買い物の経験はありませんか?
例えば、デザインが気に入って買ったクツが物凄く歩きやすかった時や、何の気なしにスーパーで買った総菜がめちゃくちゃ美味しかった時。
「良い買い物したわ~」と感じたことがあると思います。
そして、良い買い物をしたと感じると「よし、またこの店に来てみよう。」となるのではないでしょうか。
一方、“期間限定”など安さだけにつられて買った時はどうでしょう。
商品やサービスが多少悪くても「安かったし、まぁこんなもんか」で済ませると思います。
この二つの違いは顧客にどの時点で価値を感じてもらうかが違うことによって生まれています。
前者の「良い買い物」は商品・サービスを使用する(食べる)時、後者の「悪い買い物」は商品・サービスを買う時に価値を感じてもらうことを目標としています。
その結果、「良い買い物」は買った後に顧客に感動を与えるためリピートに繋がりますが、「悪い買い物」は買って終わりになりがちです。
これを商品・サービス提供側の立場で考えると、
「良い売上」:実際に利用した時に感動を与え、また利用したくなる売上
「悪い売上」:売ることが目標になっている売上
という風になります。
私自身も過去に経験がありますが、営業マンは目標(ノルマ)を「売上」に設定していることが多く、目標達成だけを考えていると「悪い売上」になってしまいます。
いまだに営業マンに対し、押し売りや口車に乗せられるイメージがあるのは、買った後の顧客が商品・サービスに価値を感じず後悔しているからです。
これでは、いつまでたっても顧客は定着せず企業は成長できませんね。
顧客が感動する=顧客にとっての価値が大きく高まる
では、どうやったら商品・サービスを利用するときに感動を与えられる「良い売上」になるのでしょうか。
それは、顧客の予想以上の価値を提供することです。
顧客は商品・サービスの利用前に「期待価値」を持っており、この「期待価値」を大きく超える価値を提供すると感動を与えることができます。
この「期待価値」というのは、価格や手間、周りの評判などで構成されています。
例えば、「100円ショップのハサミ」と「刀鍛冶が作った10,000円のハサミ」では同じハサミでも実際に使う時の期待感は違います。
10,000円のハサミは何でも切れそうですし、仕上げ具合など見た目も気になります。
さらに、この10,000円のハサミが、山奥まで行かないと買えない、TVで紹介されてなかなか手に入らない、となってくると、さらに利用する時の期待感は高まってきます。
こうやって、自社の商品・サービスに対して顧客が持つ「期待価値」をきちんと捉えることが、まずはとても重要です。
例えば、商品・サービスの価格を決めるときは「期待価値をどこに置いてもらうか」をもとに、手に入れる手間などを考慮しながら設定する必要があるということですね。
期待価値を大きく超える提供価値
顧客が持つ期待価値を捉えたら、提供する商品・サービスの価値がこれを超えているかを考えていきます。
商品・サービスの価値は大きく3つから作られます。
例えばラーメン屋だったら
「1.商品・サービス自体の品質」は、ラーメンの味。商品・サービスのコアとなる部分です。
「2.商品・サービスを提供する際の品質」は、ラーメンのメニューの豊富さや、提供される早さ、お店の雰囲気などです。お店を知ってから食べ終わって帰るまでの一連の体験ですね。
「3.ブランド力」は、ネームバリューからくる満足感や安心感などです。山形では”龍上海”ブランドが強いですね。
ここで大事なのは提供する価値を決めるのはラーメンの味だけではないということです。
もちろん、ラーメンが美味しければ美味しいほど価値は高まりますが、ものづくりの技術に関してはどの企業も既に努力を重ねています。
一方で、「2.商品・サービスを提供する際の品質」は改善の余地がある企業も多いと思います。技術力をつけて商品・サービス自体の品質を高めながら、顧客の体験を改善していくことが提供価値を高めることに繋がっていきます。
まとめ
顧客に感動を与えるには「期待価値」を捉えて、それを超える価値を提供すること。
そして、商品・サービスを通して感動した顧客は企業のファンになり、中長期的な成長を支えてくれる大事な顧客になります。
そうなると、「よし、今度は友達を誘って来てみよう」と顧客の輪がどんどん広がっていきます。
「良い売上」を続けていくことは、とても重要なことですね。