前回に引き続き、令和元年度の中小企業診断士 二次試験の解答です。 今回は3回目の事例Ⅲです。 これまでと同様、私の「解答」と「TACの模範解答」を比較し、感想を書いていく形にしています。 試験問題はこちらから(協会HP) (前回までの記事もご参考ください。事例Ⅰはこちら。事例Ⅱはこちら。) 第1問(配点20点) C社の事業変遷を理解した上で、C社の強みを80字以内で述べよ。 ■解答 強みは①熱処理専業企業として多様な素材や形状に対応できる特殊な技術の蓄積があること、②熱処理加工だけでなく、多品種少量で受注可能な機械加工を一括で受けられること。 ■TACの模範解答 自動車部品の機械加工から熱処理までの一貫した受託を可能とする、技能士資格をもつベテラン作業者の熱処理技術と汎用工作機械の扱いに慣れた作業者の加工技能を有すること。 ■感想 まずはオーソドックスな「強み」を問う問題です。 設問文に「これまでの事業変遷を理解した上で」とあるので【企業概要】からC社が現在に至った経緯を、 ・顧客に評価されていることは何か? ・何が他社と差別化出来ているのか? という観点で本文を読みました。 私は①専業として磨いた高い技術、②熱処理加工も一括で、しかも多品種少量で受けられること、の2点を分けて解答しました。 まず、産業機械や建設機械などに使われる様々な金属部品の熱処理加工を、創業当初から経験してきた技術は、間違いなく強みになるだろうと考えました。 さらに、あまり一般的ではない熱処理加工を行う金属加工業は、強みになりそうです。 しかも多品種少量で対応可能。取引先にとっては助かりますよね。 TACの解答では、 ベテラン作業者の熱処理技術+汎用工作機械作業者の加工技術⇒一貫受託が可能 という構造になっています。 さすが上手いまとめ方ですね。ベテラン作業者は使いたかったキーワードです。 ただ、少し因果関係のつながりが弱いのでは?と感じました。 第2問(配点30点) 自動車部品メーカーX社からの機械加工の受託生産に応じる場合、C社における生産面での効果とリスクを 100字以内で述べよ。 ■解答 効果は、本格的量産機械加工による少品種多量生産やマシニングセンタ導入により、生産効率が上がること。リスクは、ベテラン作業者中心から機械中心に作業が変わることで、加工品質が維持できなくなることである。 ■TACの模範解答 効果は、本格的量産機械加工のため、多品種少量の受注ロット生産よりも生産効率が上がること。一方、X社向けの生産量が増えてX社への生産依存度が上がり、新工場の設備が専用機化・専用ライン化するリスクがある。 ■感想 「生産面での」というのが制約条件になっていますね。ここは外さないように注意です。 X社からの受託生産によって変化することは、要するに大量生産になることかなと考えました。 マシニングセンタが新たに必要になることもあり、 ベテラン作業者による多品種少量生産⇒自動化による少品種多量生産(10種類) をイメージできます。 そこからQCDの観点で効果とリスクを考えました。 効果については、私の解答とTACの解答はほとんど一緒ですね。 私はリスクに品質を挙げましたが、本文を読み返してみるとベテラン作業者は熱処理加工で出てきているので少しずれた解答です。機械加工は「扱いに慣れた」程度の作業者なので、機械化によってむしろ品質が改善しそうです。 TACの解答で挙げているリスクもあまりしっくりきませんね。 ここはどう解答するべきか少しもやもやします。 第3問(配点40点) X 社から求められている新規受託生産の実現に向けたC社の対応について、以下の設問に答えよ。 (設問1) C社社長の新工場計画についての方針に基づいて、生産性を高める量産加工のための新工場の在り方について 120字以内で述べよ。 ■解答 新工場は本格的量産機械加工対応の工場にする。具体的には①ライン生産の工程計画とし、工作機械は部品別にレイアウトする、②工作機械の自動化を進め、少人数でも作業可能にする、③効率的な作業計画をし標準化を進める、ことにより生産性を高める。 ■TACの模範解答 加工プログラムに従って工具を自動交換できるマシニングセンタを選定し、汎用性を高めて専用機化等を防止する。また、自動化を進めることで一人当たり生産性を高め、作業を簡略化して標準化や作業者教育を容易にし、最小限の採用で早期の工場稼働を実現する。 ■感想 「新工場の在り方」て。と思わず突っ込みたくなりました。曖昧な設問ですね。 その前の「新工場計画の方針に基づいて」とあるので、この辺りがヒントになってきそうです。 私の解答は、現状の生産体制との比較の観点も入れて解答しています。 セル生産⇔ライン生産を考えたのですが、ライン生産は少し言い過ぎたかもしれません。 「機能別ではなく部品別のレイアウトにする」くらいの表現の方が伝わりやすいですね。 TACの解答は方針を丁寧に拾っています。 (設問2) X社とC社間で外注かんばんを使った後工程引取方式の構築と運用を進めるために、これまで受注ロット生産体制であったC社では生産管理上どのような検討が必要なのか、140字以内で述べよ。 ■解答 後工程引取方式の運用のためにはX社からの納品日情報に合わせた生産管理を検討する。具体的には①納品予定内示に合わせ3ヶ月ごとの大計画を作成し、②1ヶ月ごとに見直し中計画を作成し、③3日前に確定計画とする。計画に合わせ納期に間に合うよう週次で作業差立てや材料発注を行う。 ■TACの模範解答 納品3日前に届く外注かんばんによって納品が確定するため、従来の月次等での確定日程計画に基づく日々の作業差立てや都度発注での材料調達では対応できない。そこで、見直し後の納品予定内示に基づく、最適な材料調達の時期および発注量、機械加工・熱処理加工・出荷検査作業の差立て時期を検討する。 ■感想 こちらは「生産管理上」の検討事項ですね。 本文に書かれている現在のC社の生産計画の作成方法を、後工程引取方式を運用するためにどう変えたら良いのかを解答しました。 現在は「月ごとに日程計画を作成」していますが、後工程引取方式になると外注かんばんが届くのは3日前とかなり短納期になります。一方で、X社から納品予定の内示が3カ月前と1ヶ月前にあるので、これを生産計画に生かしていくというシンプルな解答にまとめました。 編集に時間をかけた割には、少し一般論的な解答になってしまいました。 TACの解答は課題の指摘に文字数を割いていますね。 その結果、具体的な検討事項が書けず「最適な」という表現になっているのが少しもったいない気がします。 第4問(配点20点) 新工場が稼働した後のC社の戦略について、120字以内で述べよ。 ■解答 戦略は、X社以外の金属部品メーカーに対し、高い技術の熱処理加工と本格的量産機械加工の一貫体制を拡販していく。営業力を強化して商談会などを活用する。X社以外の売上を増やすことでX社への依存度を下げ、リスクを低減させながら事業を継続させていく。 ■TACの模範解答 C社は、すでに熱処理工場に自動車部品専用の熱処理設備を有している。そこで、マシニングセンタがあり、JITに対応できる新工場の生産性の高さを生かして、X社以外の自動車部品の機械加工の量産に取り組み、X社への依存度を抑えながら時代の成長を目指す。 ■感想 最後は今後の戦略ですね。これもオーソドックスな設問です。 社長はX社の専用工場になることを嫌がっているので、X社以外を開拓し売上依存度を下げる、という方向性になると考えました。 解答は「誰に、何を、どのように」のフレームを意識してまとめています。 現在のC社が持つ一貫体制と技術力の強み+量産体制を生かしていければ、さらに拡販できそうです。 営業力強化は組織の話になるかとも考えましたが、今後も商談会の出会いに頼るわけにはいかないだろうと考え解答に入れています。 TACの解答は洗練された印象です。 試験本番でJITの単語を使うのはなかなか勇気が必要ですね。 全体の感想 振り返ってみるとオーソドックスな事例Ⅲの構成ですね。 熱処理加工と機械加工を分けずに考えてしまい、少しまとまりのない解答になってしまいました。 大原やLECの模範解答も確認してみましたが、結構解答にバラつきが見られます。 得点配分はどうなるでしょうか。 さて、次回はいよいよラストの事例Ⅳです。 お楽しみに!
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