令和元年度の中小企業診断士 二次試験を解いてみました。 学習されている方の参考になれば幸いです。 まず、今回は事例Ⅰ「農業用機械や産業機械装置を製造する中小メーカー」についてです。 私の「解答」と「TACの模範解答」を比較し、感想を書いていく形にしています。 試験問題はこちらから(協会HP) 第1問(配点20点) A社長がトップに就任する以前の A 社は、苦境を打破するために、自社製品のメンテナンスの事業化に取り組んできた。それが結果的にビジネスとして成功しなかった最大の理由は何か。100 字以内で答えよ。 ■解答 理由は、事業計画が曖昧で収益を確保出来なかったためである。主要顧客の減少や健康志向の高まりで市場が縮小する中、自社のコアテクノロジーが不明確なまま事業化したため、十分な売上を確保することが出来なかった。 ■TACの模範解答 市場が縮小するたばこ産業が主な対象である上、単に既存事業に関連する内容であるというだけでコアテクノロジーも活かせず、採算性も考慮されていない。以上から、収益が獲得できる事業領域の設定ではなかったから。 ■感想 設問を読んでみると「最大の理由」を問われています。 このことから、理由を列挙するのではなく、一つの理由を挙げて根拠を説明する構造で解答を考えました。 「市場の縮小」と「強みを活かせていない」ことから、収益が確保出来なかったことを指摘している点は共通していますね。 私は事業計画が曖昧だったのでは、と予測しました。 TACの方が上手な表現です。 第2問(配点20点) A社長を中心とした新経営陣が改革に取り組むことになった高コスト体質の要因は、古い営業体質にあった。その背景にある A 社の企業風土とは、どのようなものであるか。100 字以内で答えよ。 ■解答 過去の成功体験により切迫感なく現状維持する企業風土があった。保有期間を経過した機械部品の在庫負担や前近代的な経理体制など、古き良き時代を知る古参社員たちが新しい取り組みを受け入れてこようとしなかった。 ■TACの模範解答 A社は、収益管理を軽視した営業体質となっている。これは、高コスト体質であってもそれを上回る売上を獲得することで存続してきた過去の体験により、業績悪化に対する切迫感に欠け、変化を拒む企業風土が背景にある。 ■感想 高コスト体質の要因である古い営業体質の「背景にある企業風土」が問われています。 設問分析の段階では、どんぶり勘定なのかな、接待が多い企業なのかな、など考えていましたが、本文を読んでみたら過去の栄光にしがみつくような古参社員たちが登場しています。 この点をどうまとめていくかがポイントになりそうです。 私は具体的に発生している問題点として”在庫負担”と”経理体制”を挙げていますが、TACの解答は背景を丁寧に説明しています。 第3問(配点20点) A社は、新規事業のアイデアを収集する目的で HP を立ち上げ、試験乾燥のサービスを展開することによって市場開拓に成功した。自社製品やサービスの宣伝効果などHP に期待する目的・機能とは異なる点に焦点を当てたと考えられる。その成功の背景にどのような要因があったか。100 字以内で答えよ。 ■解答 要因は、コアテクノロジーを明確に位置付け、社員に共有したことである。縮小する既存市場以外の潜在市場からアクセスし易くし、社員が対応することで、それまでアプローチ出来なかった市場と結びつくことが出来た。 ■TACの模範解答 昨今のインターネットの普及状況により、ニーズを有した潜在顧客はHPへアクセスしてくる土壌があることから、独自に切り拓くのが困難な、既存市場以外の多様な市場と数多くの結びつきが生まれやすい状況にあったこと。 ■感想 この問題は難しかったです。 「成功の背景にどのような要因があったか。」という問いかけ自体も分かりづらいですし、設問文中の「自社製品やサービスの宣伝効果などHPに期待する目的・昨日とは異なる点に焦点を当てたと考えられる。」の一文をどう読んだら良いのかに悩みました。 私は、 コアテクノロジーを明確化 ⇒ 社員への共有 ⇒ 組織としての強み形成 ⇒ 発信力・引力が高まる ⇒ 潜在市場にアクセス ⇒ 市場開拓に成功 という風に考えました。 TACの模範解答については「インターネット黎明期では?」という疑問もありますが、潜在市場にアクセスできた点を指摘しているのは共通しています。 第4問(配点20点) 新経営陣が事業領域を明確にした結果、古い営業体質を引きずっていた A 社の営業社員が、新規事業の拡大に積極的に取り組むようになった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。 ■解答 要因は①古い営業体質を持つ高齢社員が退職したこと、②賞与評価に成果主義を導入したこと、③A社独自で新規市場を開拓したこと、により社員の若返りと動機付けを行い、営業社員のモチベーションが向上したためである。 ■TACの模範解答 古参社員を退職させた上で自社のコアテクノロジーを明確にしたため、新たな戦略が受け入れられたこと。また、販売見込みの高いターゲット市場が明確になり、成果主義的要素の動機付けへの寄与度合いが高まったこと。 ■感想 まとまりのない解答になってしまいました。 第3問との切り分けに悩んだ結果、モチベーション向上を要因として解答しました。 社員の若返り ⇒ 成果主義の導入 ⇒ モチベーション向上 100字あるのにちょっと浅かったですね。 功を奏した営業部隊のプレゼンテーションにも触れようか迷いました。 ここはTACのまとめ方が上手いです。 組織体制を変えて方針を明確にしたことで、新規事業を受け入れやすくしたということですね。 第5問(配点20点) A社長は、今回、組織再編を経営コンサルタントの助言を熟考した上で見送ることとした。その最大の理由として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。 ■解答 理由は、組織を再編する段階ではないと考えたため。新規事業の基盤が徐々に固まってきている中、A社長が目配りできる体制で迅速な意思決定ができる点と、組織再編による社員のモラール低下を避ける点を考えた。 ■TACの模範解答 新規事業の基盤が徐々に固まってきた段階であり、経営改革を着実に進展させるためには、経営陣が各機能部門長を務める集権度合いが強い創業以来の組織体制のままのほうが、現段階においては望ましいと考えたから。 ■感想 TACの方が上手な表現ですが、概ね同じ内容ですね。 「今じゃない」ということです。 私は、組織再編は大きな負荷がかかるため、モラール低下のリスクも指摘しています。 回答には含めていませんが、若返りした組織の中で事業部長に適した人材はいるのかな、という点も考えました。 全体の感想 事例Ⅰは書き上げた後に一番もやもやしますね。 今回の事例は、特に設問分析に時間がかかってしまいました。 第3問、第4問の切り分けでなかなか構成がまとまらず、第5問にあまり時間をかけられなかった印象です。 とはいえ、全体としてはベーシックな事例Ⅰらしい問題でした。 次回は事例Ⅱです。 得意のマーケティング。 お楽しみに!
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